康花美術館やすか      
  YASUKA MUSEUM OF ART


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信濃毎日新聞 2012年(平成24年)11月25日 日曜日


    『斜 面』

      その美術館は松本市の閑静な住宅街にある。玄関を開けると、少女を描いた油彩画と向き合う。つぶらな瞳がこちらを真っすぐに見つめている。09年に30歳で亡くなった画家、須藤康花さんの12歳の自画像だ。

      康花さんは2歳で腎臓の病気を患い、入退院を繰り返した。15歳の時には最愛の母親が病死。「私のせいで死んだ」と自らを責め、一度は自死を決意したが、思いとどまった。病魔との闘い、死の不安や孤独。葛藤しながら描き続けた作品は千点にのぼる。

      9月に美術館を開館した父親の正親さんによると、12歳の自画像は母親もほめてくれた思い出の作品。居間に飾ってあったが、母の死から数年後、康花さんは押し入れにしまい込んだ。その前後から、人間の苦悩や業、生と死の葛藤など普遍的なテーマを追求する作品を描き始めた。

      父子は01年、麻績村に移住し農業を始める。07年、肝臓にがんが見つかった。「輪廻」「流転」「悪夢」「祈り」…。この前後の作品は見る者の胸を突く。一方で、花火に淡く浮かぶ親子の姿や自然、道祖神などを題材に「田舎の詩情」を表現した。かすかな光さえ、感じられる。

      「もう少し穏やかな曖昧の中にいたかった」と康花さんは書き残した。館内では作品の前に佇み、涙する人がいる。正親さんは思う。「71歳の私より長く生き抜いた」。 康花美術館は 電話 0263・31・0320



    12歳の自画像






康花美術館  
〒390-0872 長野県松本市北深志二丁目1-27 TEL/FAX 0263-31-0320                       
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